実は当初はそんな話を長々とするつもりはありませんでした。
6/27の記事の書き出しはこうでした。
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大手塾で働いていた時から保護者によく要望されることがあります。
「うちの子は勉強の仕方がよく分かっていないように感じるので、勉強の仕方やコツを教えてあげてほしい。」
このようなお願いです。
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この問に対する、まなび堂なりの回答を本当は書こうと思っていたんです。
それが、あれこれ考えているうちに前置きが長くなりました。
もし「学習のコツ」が存在するならば、私の10年間の経験で言える事としてはアウトプットにヒントがあるように思います。
学習におけるアウトプットの重要性自体は既に色々なところで語られていますね。
大手塾で働いていた頃に学校成績の良い生徒から良くない生徒までたくさん見てきました。
成績が右肩で上がっていく生徒、変わらない生徒、下がっていく生徒まで本当にたくさんの生徒に出会えました。
小学1年生~浪人生まで幅広い学年の生徒を受け入れており、彼らの変化を傍で見ることが出来ました。
そういった点では、経験を積ませてもらった大手塾には感謝しています。
そんな中で「成績の良い生徒」もしくは「成績の上がっていく生徒」は学習時間におけるアウトプットの比率が大きいというのが私の実感です。
巷で語られている「アウトプットの重要性」を目の前にいる生徒達が証明し、私に学ばせてくれたのです。
個々の生徒達をみていると、学習に対する勘のいい子は無意識にアウトプット型の学習が多くなっているように見えました。
高校生くらいになると「アウトプット」という言葉を知らなくても、勘のいい生徒は自ら意識してアウトプット型の学習方法を多く選択していましたね。
英単語の暗記を例にしてみます。
中1~高3まで英単語暗記はどの生徒も通る道です。
先日の記事で、まなび堂基準で英単語暗記のアウトプット型学習とインプット型学習を仕分けしました。
以下引用です。
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英単語の暗記方法で考えてみます。
①英単語と日本語訳をただ見て(眺めて)覚える。
→これはインプットのみの行為になるでしょう。
②ノートなどに、1列ただ書いて練習する。
→これもインプットのみの行為だと思います。
③ノートなどに練習する場合でも、1つ書いたあとそれを手や指で隠して見ないようにして同じ単語をもう一度書く。それを見ないようにまた隠してもう一度書く。これを連続していく。
→この行為は知識のインプットでしょうか?アウトプットでしょうか?
私はこの行為の「目的」はインプットにあるけれども、している事はアウトプットに近いと考えます。皆さんはどう思いますか?
④英単語帳などで赤シートで隠しながら頭の中でテストしていく方法。
→これも行為の「目的」はインプットにありますが、行為そのものはアウトプット寄りだと私は思うんですね。皆さんはどうでしょうか?
⑤単語カードを作ってテストする。
→作るまでは作業ですね。④同様に目的は「インプット」にありますが、作った後に実際にそれを使ってテストを繰り返す行為自体はアウトプット寄りの行為だと私は考えます。
~~~~~~~~~~~~引用終わり~~~~~~~~~~~~
そもそも英単語暗記の「目的」は知識インプットです。
なので①~⑤とも目的は知識インプットです。
ただ、まなび堂仕分けでは①、②はインプットのみの「行為」。
③、④、⑤はアウトプット寄りの「行為」としました。
正確には③、④、⑤はアウトプットの後にすぐインプットを繰り返す行為と言ったほうがよいかもしれません。
上記の①~⑤で、学習に対する勘がよい生徒は①、②の方法ではなく③、④、⑤のようにテスト形式に近い方法を選択していく傾向が強いです。
成績上位の生徒は学習にアウトプット要素を多く取り入れていく方が早く暗記できることを学習経験の中で無意識に学んでいるのでしょう。
私が今まで出会った中で最も英語の成績が伸びた生徒は、大学入試までに単語帳を複数冊やりこみました。
最終的には、新しい単語帳を買ったらまず自分で単語テストを作成し、暗記学習が済んだらその自作の単語テストで「本当に覚えているか」をチェックするという方法に辿り着いていましたね。
「テストする」というアウトプットの代表的な行為を意識して勉強時間に組み込んでいるわけです。
他にも学習におけるアウトプットが重要な例を示しておきたいと思います。
以前のブログ記事ですね。
「授業」はインプット学習の要素が強いです。
一方的に先生が説明し続ける場合と、演習と説明が交互に繰り返される場合とでインプットの時間とアウトプットの時間の割合が違ってきますが。
②の記事にあるB君の事例はまさにアウトプット重視の学習がもたらした結果です。
何度も学校のワークを繰り返させたのは、とにかくB君にアウトプットをたくさんしてもらいたかったからです。
ここで一つ断っておきたいのは、インプットを軽視するということではありません。
そうではなくて、インプットにかかる時間を短くする為にアウトプットを重視するのです。
まなび堂ではこのような考えから、教室でアウトプットを重視した学習を生徒にしてもらいたいと思っています。
保護者から「うちの子は勉強の仕方がよく分かっていないように感じるので、勉強の仕方やコツを教えてあげてほしい。」と依頼されたら、
「知識のインプットの為に、アウトプットを重視した学習をさせていく」というのが、まなび堂の回答になります。
ここからは余談です。
実は学習塾の現場で働けば働くほどアウトプットが重要だと気づかされるんですね。
その結果どうなるか。
インプットの要素が強い塾の「授業」って果たしてどれほど必要なのかという疑問にここでぶつかるわけです。
こうして「授業中心」の学習塾のあり方に限界を感じるようになるんですね。
そして私は大手塾を辞めました。
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