高校入試との比較の為に、今回はまず「中学入試」について見てみましょう。
「中学入試」も今は私立中学校と公立中高一貫校と大きく2つに分かれます。
「中学入試」を考えている保護者の方もこの記事に辿り着く可能性があるので一応触れておくと、「私立中学校」と「公立中高一貫校」の入試も別々に考えることをお薦めします。
「私立中学校」の入試は試験当日のテストの得点のみで合否が決まる「一発勝負型」の入試です。
私も含め30代以上の親世代の人たちが「入試」と聞いて一般的にイメージするものに近いと思います。
ひとつ例を見てみましょう。
千葉県内の上位私立中学校の一つ、東邦大学付属東邦中学校のH28年度入試要項にはこう書いてあります。
選抜方法「学力試験により選考します。」
単純明快ですね。
「当日の試験の得点のみで合否を決めますよ」ということです。
中学校の通知表(評定)や、生活面はどうだったかも総合的にみる千葉県公立高校入試と違うわけですね。
余談ですが、このような「学力試験のみ」での選考では模擬試験の偏差値に基づく合否判定の信頼度は高くなります。
しかし、偏差値さえ高ければ大丈夫ということはありません。
理由は私立中学校の入試問題は学校ごとに傾向が違うからです。
書店に行ったら適当に2校選んで過去問題を見比べてみてください。
学校によってけっこう違いますから。
絶対入りたい志望校がある場合は過去問題からその中学校の傾向にそったトレーニングをしておくのは中学受験の定石です。
では、公立中高一貫校はどうでしょう?
千葉市の公立中高一貫校、市立稲毛高校のH28年度入試要項にはこう書いてあります。
選抜方法
「小学校等の校長の作成した報告書、志願者から提出された志願理由書等の書類の審査、適性検査の結果、面接の結果を資料とし、志願者の能力、適性、意欲等を総合的に判定して入学者の選抜を行う。」
東邦中の単純明快なものとは差がありますね。
稲毛中は「報告書」「志願理由書」「面接」など学科試験以外の要素が合否判定に入ってきます。
このようなタイプの入試は模試の偏差値での合否判定の信頼度は低くなってきます。
模試の偏差値が高くても、試験当日の「適性検査」の解答力以外の要素も合否に影響してくるわけですから。
また、公立中高一貫校の入試の場合は適性検査以外の要素がどのような割合で合否に影響するのかが受験する側には明確には分からないケースがほとんどです。
この点は千葉県の公立高校入試と違いますね。
千葉県の公立高校入試は基本的に、
①学科試験500点満点(一部高校除く)
②評定135点(45点満点×3年分。一部高校除く)
③学習以外の項目 0点~265点(何点満点か高校による)
④独自検査 0点~300点(何点満点か高校による)
というように、高校ごとに各検査の得点や評価方法が明示されています。
中1~中3秋までの中学校生活の積み上げである②、③の項目が合否にどれくらいの割合で影響するかがある程度事前にわかります。
高校によっては②、③の比重が合否判定に大きく影響するので「一発勝負型」の入試とは言えません。
稲毛中のような公立中高一貫校の入試は合否判定に適性検査以外の要素が入ってくるものの、小学校からの「報告書」がどれくらい合否に影響するのかが実際のところ不明な為、結果的に「一発勝負型」の入試に近いと言えます。
これが、「千葉県高校入試」と「中学入試」を別物と考える理由です。
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